−第0記 プロローグ−
「……いったい今、何人くらい残ってるんだろう……」
子津は、ぼぉっと空を見上げながら言った。真上には満月が浮かんでいる。
「―――猿野くん………」
大好きな人の名前を呼ぶ。
今もこの島のどこかで自分と同じ月を見ている、あの人を。
彼らは先日まで、いや…約十二時間前までは、普通の高校生だった。しかし、今はそうではない――――――
殺し合いの真っ最中
誰か一人のみしか生き残れない。
何故、どうしてこうなったのか。
「…はは、考えてみてもわからないっすよ……」
そういいながら自分の右の手を見る。そこには血塗れの短剣が握られていた。この無人島へ来て『プログラム』が始まる際に渡されたものだった。この島にいるのは、何の脈絡もなく選ばれた者たち。
単に、運が悪かっただけ。
偶々【BR法】の対象がかわって。
それで………偶然この十二支野球部が選ばれた。
ただそれだけのことだった。
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