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「な、クリスマスって知ってるか?」

オレの問いに、ナットは首を横に振った。
やっぱり。ヤンガスやトロデ王は知らないとしても
そんなにおかしく思わないが、
ゼシカやミーティア姫まで知らないのなら、
こいつが知っていないってのも至極当然のことに思える。

「ククール、クリスマスって何?」
「ん、そうだなぁ…」

さて、どう説明したモノか。
オレたちとは違って、こいつらの中に『カミサマ』ってのが
どれくらい意識されているかによって説明もだいぶかわっちまうけど…

「クリスマスは、カミサマがお生まれになった日のことなんだ」
「ふんふん」
「…んで、カミサマが生まれた日だから、
うわー嬉しい、よし祝おう!ってパーティする日なんだ」
「へー…」
「でもな、もう一つ意味があるんだが…」
「なに?」
「……」

オレは、話そうとして、ソレを思い留まった。
今ここで説明するよりも、もう少し企画を練るのもいいな

「…ま、後でな」
「何だよ。ククールのけちー」





「「メリークリスマース!!!」」

あれから数日後、
ゼシカに声をかけて、何とかパーティに持ち込んだ。
ホワイトクリスマスってのをかこつけたくて、
わざわざオークニスまでやってきた。
案の定、外は相変わらずの雪景色で…


トロデ王はこんなことしてる暇ではないのに、
とか、ぶつぶつ文句を言っていたが
酒をあおるように呑んでいたので、結局楽しんでるんだろう。
ヤンガスは、1時間ほどした辺りで、
酔っぱらって寝てしまった。

「ヤンガス、こんなところで寝てちゃ駄目よ」
「むー…わかってるでがす……」

全く。ペースを考えずに呑むからそんなことになるんだ。

「ナット、呑んでるか……」

そう言って振り返ると
そこにいた青年は、既に目が据わっていた。

「んー?なぁに、ククール」
「…お前も、酔うの早ェよ」
「あっはっは!そんなことないよぉ!!」

けらけら笑っている。
こりゃ、もう駄目だな。



「ククール、私も部屋に戻るわよ」
「ん?あぁ…」

気がつくと、トロデ王やミーティア姫、ヤンガスの姿はなかった。
ゼシカも今ちょうど、部屋へ戻るところだった。
やばいやばい、時間感覚がないってことは、
オレも相当酔ってるな。
こんなに酒を呑んだのは久しぶりだからな。
幸い、パーティを催したこの部屋は、
オレとナットの部屋。
ま、どんなに酔っても、全く問題ないしな。

「ククールぅ、呑んでる〜?」
「うわっ」

突然後ろからのしかかるようにナットが寄りかかってきた。
もうすっかりベロンベロンだ。

「お前、やっぱ呑みすぎだよ」
「そうかなぁ…」
「喋り方が酔ってるよ」
「ボクのことはどうでもいいよ〜それより、そろそろ教えて?」
「何を」
「クリスマスの、意味」

ああ、そういやそんなことも言ってたっけ。

「教えて欲しいか?」
「もちろん」
「じゃ、ちょっとこっちに来いよ」

ベッドに腰掛けているオレの横を指さす。
酔っているせいか、いつもより素直にオレの横に腰掛けた。

「あのな、クリスマスってな…」


どさ…


ナットを優しくベッドに押し倒す。
何が起こったかよく分からずにきょとんとした顔をしてる。
その額にそっとキスを落とし、

「クリスマスにはな、恋人同士が愛を語らう日なんだ」
「あい…?」
「そう。カミサマの前で、愛を誓うんだ」
「そーなんだー…」

そう呟くと、突然、ナットの方からキスをしてきた。

「―――!」
「えへへ…キス、しちゃった」
「ナット―――」

我慢できなくなって、もう、何も判らずに、一夜を過ごした。

窓の外では、真っ白い雪がちらちらと降っていた。







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