□BIRTHDAY□
ある晴れた日。
こんな日には愛しき人と遊びに行きたいものだと、
青年は心の中で大きな溜息を吐いた。
(…わかってるさ。そんなことが許されないことくらいは)
今の彼の身分は、このトロデーン城に厄介になっている一旅人。
「エイトは側近中の側近。あの二人の近衛隊長だもんな」
そう。彼の愛しき人は、
このトロデーン城の王、トロデ王とその娘、ミーティア姫の近衛隊の隊長。
確かに青年も、トロデ王に頼まれ、護衛することも多々ある。
それは勿論、今まで共に旅をしてきた上での信頼からだ。
そのため、この城にいる他の兵士たちより上の立場にいて、
よりエイトに近い立場にいるということは、よく理解している。
だがそんなことはどうでもいい話。
「…知ってるか?エイト隊長のアレ」
ふと。名前も知らないような兵士その1の口から、
青年――ククールの、愛しき人の名前が出てきた。
(てか、おまえらごときが口にしていい名前じゃねぇ!)
とか何とか、心の中で呟いている。
「知ってる。アレだろ。隊長の誕生日」
(エイトの誕生日…っ!?)
「そうそう。明後日だってな」
(は?なんだって!?)
その情報の真意を確認すべく走りだしていた。
「ミーティア姫!」
ミーティア姫の部屋へとやってきたククールに、少女は微笑みかける。
「どうしたのですか、ククール?」
「エイトの誕生日が明後日だって本当か?」
「誕生日?はい。そうです」
穏やかな様子で答える辺り、王族なのだなと、再確認する。
「よく覚えてたな。あいつ、昔の記憶なくしてただろ」
「ええ。なので、エイトが初めてこの城に来た日が誕生日なのです」
なるほど、と心の中で納得した。
「サンキュ、ミーティア姫」
「お役に立てて嬉しいです」
ミーティアは再びニコッと微笑み、部屋を出て行くククールを見送った。
「どこが一番いいか?」
頭の中を巡る。
今まで旅した中で、どこの街に行けばいいのか。
エイトの誕生日にプレゼントを送る。
やはり恋人同士なのだから、それぐらいはしてやりたいというのが彼の考えだった。
「う〜ん……」
ここはやっぱ―――
1 プレゼントならアレだろ
2 うさみみバンド&うさぎのしっぽ
3 オレの愛(笑)
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||