だんだんと近づいてくる緊張。
この先に何が待っているのか、それがわかったからだ。

「……スタン、あんた――――」
「しっ。…あそこ」

ルーティの口を塞ぎ、スタンは奥の方を指さす。
そこにはよく知っている人物がいた。

「ヒューゴ!」
「ふふふ、よく来たな。しかし、君たちの英雄ごっこもここで終わりだ。…エミリオ」

ヒューゴは、後ろに控えていたリオンに目配せをし、自分の脇に抱えていた少女の首筋にナイフを突きつけた。

「さあ、この女の命が惜しければ…あいつらを殺せ」
「エミリオ!私のことは気にしないで!!…自分の気持ちを大事にしてっ!」
「うるさいっ!」

その少女―――マリアンの頬を叩く。

「早くやるんだ、エミリオ」

一瞬ヒューゴを恨めしそうに睨み付けた後、その視線をスタンたちの方へと向けた。

「リオン!目を覚ませ!!」

その言葉がまるで聞こえないかのように、リオンはシャルティエを構えた。
そして一歩、また一歩とスタンたちの元へと近づいてくる。

『シャルティエ!貴様まで何を!!』
『悪いね三人とも。ボクは坊っちゃんについていくだけさ。』
「シャル。お喋りはその辺にしておけ」
「―――あんたは!なんであんな奴のいうことなんか聞いてんのよ!」

気付くと、ヒューゴはマリアンと共に奥へと姿を消していた。ルーティはリオンの前へと歩みよった。

「…何よりも、大事なものを守るためには、譲れないものだってあるんだ」

少し、ほんの一瞬だけ、リオンの瞳がスタンを見つめたような気がした。

「ヒューゴは……僕の父親だ」
「――――?!」

まるで昔話をするような口調で、リオンは話し始めた。

「そして、僕の母親は【クリス・カトレット】……」

彼の言葉に、ルーティの顔が青ざめた。しかし、それを無視してリオンは話を続けた。

「これが何を意味するかわかるか……?……そう。僕とルーティは姉弟なのさ…」
「そういえば、マリアンさんって、リオンのお母さんに似ているよね…」

後ろで、スタンが呟く。ルーティが振り返る。

「なんであんたがお母様の顔知ってるのよ!!」

彼女の瞳は、少しだけ潤んでいた。

「え、だって……前に一度だけ、リオンに写真を見せてもらったんだ」
「……もうこの辺でいいだろ。さっさとケリをつけるぞ――――!!」

そういった瞬間、リオンはスタン目掛けて走ってきた。
前にいたルーティやフィリア、ウッドロウを無視して、一直線に向かってきた。
咄嗟にディムロスを構え、シャルティエの切っ先を受け止める。

「スタンッ!」

ルーティが、リオンに向かって走っていく。もちろんアトワイトを手に持っている。
それに気付いたリオンが、チッと呟いて、その場から飛び退いた。

「リオン、あんた卑怯よ!!」
「ルーティは黙ってて!」

スタンが声を張り上げた。

「スタンさん……」

フィリアが心配そうに見た。

「みんな、ここは俺一人に任せてくれ」
「…大丈夫なのかい?スタンくん」
「はい。だから、ルーティも…」
「……」

ルーティは黙ったままだ。

「ルーティ」
「…わかったわよ。田舎者の考えることはわからないわ。ただし……死んだら承知しないわよ!」
「ありがとう。みんな、下がってて」

後ろの方にルーティ達を下がらせた。そして、改めてリオンの方を見た。

「さ、やろう」
「…ああ」

二人はそれぞれのソーディアンを構えた。その場に静寂な空気が広がる。

「――――飛燕連脚ッ!!」

先に静寂を破ったのはリオンだった。
寸前のところでかわす。スッと、スタンの頬が切れ、赤い液体が流れ出す。
それを手の甲で拭い、スタンはリオンに向かって走った。

「魔王、炎撃破ァァァ!!」

炎がリオンの周りを包む。しかし直接は当たっていなかった。

「どこを狙っている!」

しかし、炎がリオンの視界から消えたとき、スタンは既にリオンの背後に回っていた。

「ただの目くらましさ」
「クッ……」
「リオン、俺たちのところに帰ってこいよ……」
「…ふ、まだまだ甘い。スタン…」

リオンはクルッと振り返り、スタンの方を向いたのかと思うと、その唇を奪っていた。

「もう、あの頃には戻れない。お前が望んでも、僕が望んでも……」

そしてギュッとスタンを抱きしめた。

「お別れだ………スタン、愛してる――――」

その一言を残し、リオンはスタンを突き飛ばした。次の瞬間、滝のような水が部屋の中に勢いよく入ってきた。
水はリオンの横を通り抜け、スタン達に直撃した。

「リオンッ、リオーンッ!!!!」

スタンの叫び声も虚しく、どんどんリオンから離れていってしまった。



数日後……

「おじいちゃん。ちょっと北の海岸沿いに行って来ます!」
「おおリリス。いっておいで」

リリスは花籠を持って、家を出た。

「あれ、リリスちゃん。お出かけ?何なら俺もついていこうか?」

バッカスがリリスに声をかけた。

「大丈夫よ。私、強いから」
「気をつけてね。外は魔物が多いから」

ありがとう、と一言いって、リリスは村を出た。
彼女はたまに北の海岸まで出かけることがある。なぜなら、北の海岸にはまだ使えそうな物が漂流してくることがあるから。
リリスがこうして使えそうな物を取ってきて、祖父のトーマスと共に細かい箇所を修理したり綺麗にしたりする。
そしてそれを売って家計を支えているのだ。

「さて、と……何処かに落ちていないかしら……」

海岸に着くと、何やら黒いものが目に付いた。

「……?…………大変!人だ!!」

リリスは黒いものが人であることに気づくと、慌てて近づいていった。
まず意識があるかどうかを確認し、まだ生きていることがわかると、肩に担いで家まで連れて帰った。

「おじいちゃん、大変ッ!男の子が倒れてたの!!」
「とにかく、スタンのベットに寝かしなさい」

リリスにてきぱきと指示しながら、トーマスは少年を介護する。元騎士だったトーマスはこれくらいの介護知識は持っていた。

「……さ、これで大丈夫じゃ。後は目を覚ますのを待つだけじゃな」

トーマスは部屋を出ていく。リリスは部屋の椅子に腰掛け、少年が目を覚ますのを待った。
やがて夕方になり、リリスが夕飯の準備をしようと立ち上がると、少年が身体を起こしていた。

「…ここ、は……?」

「気がついたんですね!ここはリーネの村です」
「リーネ…?」
「貴方が北の海岸に流れ着いていたから、慌ててここに運んだんです。あの……貴方のお名前は?」
「僕、僕は……エミリオ」

少年―――リオンは、そう名乗った。

「…お腹、空いてません?今から夕飯の用意をするので、もう少しゆっくりしていて下さいね」

リリスはそう言うと、部屋を出ていった。それを見て、リオンは溜息を吐いた。

「どうして僕は生きているんだ……」
『坊っちゃん!!』

声が聞こえる。シャルティエだ。周りを見回して、机の上に置いてある荷物と共に、
シャルティエが置いてあるのを確認すると、ベットから降りて机に向かう。

「シャル。お前もいたのか」
『坊っちゃん、よかったですね。命が助かって……』
「よくなんかないっ!!」

シャルティエの言葉に、机を叩きながら叫んだ。

「…もう、あいつらにあわせる顔がない。僕なんか、あのまま死んでしまえば良かったんだ」

リオンは俯いてそう吐き捨てた。すると、リリスが部屋に入ってきた。

「夕飯、出来ましたよ」

腕を掴んで、テーブルまで連れて行く。
そして椅子に座らせるとどうぞ、とリオンに皿を差し出す。リオンも素直に受け取り、黙々と食べ始めた。

「美味しいですか?」
「…ああ」
「良かった。それ、うちのお兄ちゃんの大好物なんだ」
「兄がいるのか?」

そう聞いてきたリオンに、笑顔で頷く。

「うん。うちのお兄ちゃんはね、元気いっぱいで、すっごく強いんだけどちょっと馬鹿なところもあるの。でも、私の自慢のお兄ちゃんよ」

嬉しそうに話すリリスに、リオンも思わず笑みを零した。誰かに似ている、と。

「そういえば、名前を聞いていなかったな」
「私?私はリリスよ」

リリス……どこかで聞いたことが有るな、とリオンはぼんやり考えていた。



それから数日後。リオンはすっかり村に馴染んでいた。
滅多に見られない美少年。村の女達の間ではすっかり噂になっている。

「エミリオさん。水汲みお願い出来ますか?」
「ああ。かまわない」

頼まれて、村の入り口付近にある川まで、リオンは水を汲みに来た。
この村の川は綺麗で。いや、川だけではない。土も空気も、人々の心さえも綺麗だ。
リオンはこの村で数日間を過ごし、心が穏やかになっていた。
今までのことも、あの時のことも―――

「リオンッ?!」

突然自分を呼ぶ声がした。その声は非常に聞き覚えがあった。
後ろを振り返る。

「スタン……?」

輝く金髪を持った少年が立っていた。……スタンだ―――。
数日前、あの洞窟で会ったきりだった。

「――ッ!!」

リオンはつい駆け出してしまった。どこへ行こう。行くあてはリリスのところしかない。慌ててリリスのところへと行く。

「?エミリオさん、どうかしたんですか?」
「……なんでもない」
「リオンッ!!」

スタンの声がする。するとリリスの顔が変わった。

「お兄ちゃん!」



家の中へと入り、三人は椅子に腰かける。どこから話をすれば良いのかわからない。

「……知らなかった。お兄ちゃんが話していた【リオン】さんがこの人だったなんて」

リリスがぽつりと言った。

当然だ。リオンは『エミリオ』と名乗ったのだから。

「エミリ…じゃなくって、リオンさんは、ちょっと前に私が海岸で見つけたの」

そして、リオンを看病していたこと、ここでしばらく暮らしていたことを話すと、一息を吐いた。

「―――私の話はこれで終わり。積もる話もあるだろうから、あっちの部屋でゆっくり話でもしてて」

そういった彼女は立ち上がり、キッチンの方へと歩いていった。

「……いくか」

リオンはスタンに呼びかけ、部屋を移した。
そして再び席についた。最初に話し始めたのはリオンだった。

「僕は…リリスに助けられた。本当なら死んでいるはずのこの命を彼女に救ってもらったんだ」
「……」

スタンは何も言わない。リオンも俯いたままだ。
あわせる顔など有りはしないと、そう思っている。あのとき、彼らに酷いことをしてしまった。

「他の奴らはどうした。一緒じゃないのか」
「……」
「―――悪かった。僕には関係のない話だったな。僕は君たちの敵だから」

シャルティエを乱暴に掴み取り、リオンは部屋を出て行こうとする。

「…さよならは言わない。僕はもう死んだ人間だ。ここで僕にあったのは夢だと思って忘れてくれ――――」
「……待てよ」

スタンの声がする。

「勝手に…1人で話を進めて……いつも俺たちの話を聞かずに…1人で抱え込んで…」

振りかえれない。スタンが泣いているのがわかったから。

「…僕は駄目だな。死人になっても最愛の人を泣かす事しかできないから」
「死人とかいうなよ!お前は現にこうして生きているじゃないかっ」
「幻さ。長旅の疲れで見た一時の…な。ゆっくり休めば忘れる」
「勝手な…ことばっかり……言いやがって……」

ドンッと机を叩く音がした。何度も何度も叩き付ける。

「止めておくんだな。これ以上やると、手が壊れるか机が壊れるか、だ」
「俺が…この数日間……どれだけお前の事を心配したと思ってるんだ……」
「スタン…」
「昨日、ルーティやフィリアに『心ここに在らず』って言われて…家に戻って頭冷やしてこいって…戻ってきたらリーネにリオンがいるし…」

スタンの瞳からは、涙が溢れ出していた。

「……忘れるんだ。僕の事はもう……」
「忘れ…られる訳…ないだろ……っ!」
「忘れろ。そうじゃなければ辛いだけだからな」

部屋を出る。後ろは一切振り返らなかった。振り返ってスタンの顔を見れば、きっと決心が鈍ってしまう。

『…坊っちゃん。本当に良かったんですか?』
「なんだ、シャル。ディムロスやアトワイトのところに戻りたかったか?」
『いいえ…ボクは坊っちゃんについて行くだけです』
「―――リオンさん」

家を出て行こうとしたリオンは後ろから少女の声がして立ち止まる。振り返るとそこにはリリスが立っていた。

「どこに行くんですか?」
「どこでもいい。僕を知っている奴がいない地なら」
「…お兄ちゃんを置いていくのね」

リリスはうつむき気味に呟いた。

「勿論だ。これ以上僕と一緒にいたら、あいつは駄目になっていく」
「あんな状態のお兄ちゃんでも平気で置いて行っちゃうのね」
「……」

言葉が返せない。リオンが返答に困っていると、リリスが彼に歩み寄ってきた。

パシッッッ!!

リリスの掌がリオンの頬を叩いた。
リリスも本気を出していないし、リオンも普通の力じゃビクともしないので、身体にはまったく何もなかった。
怪我をさせようとかそう言う気持ちは全然ないのだ。リリスは彼の心に訴えた。

「……何も言わなくても、きっと貴方ならわかると思う」
『この小娘!坊っちゃんに何て――!!!』

リリスはシャルティエの声も聞かずに、そのまま走ってどこかへ行ってしまった。

「いいんだ、シャル。……行こう」

リオンにはリリスの気持ちは痛いほどわかった。
わかったからこそ、彼から離れなければならないのだ。スタンの家を出て、村の入り口へ歩いていく。

「………ファイアーボール!!!!!!」
「―――ッッ!!」

気配に気づき、間一髪のところで放たれた火の玉をかわす。

「誰だ!!」

振り返っても声の主の姿はなかった。声質からして女性なのだろう。
キョロキョロと周りを見回す。すると、木の陰から見覚えのある姿が現れた。

「何であんたこんなところにいるのよ…」
「リオンさん」

ルーティとフィリアが、驚いた顔でこちらを見ていた。
リオンは身を翻して逃げ出した。あの二人に捕まっては色々と面倒くさいことになる。

「あっ」
「…無駄よ!!リリスッ」

リオンの進行方向に、リリスが突然現れた。

「うわあああ!」
「ルーティさんっ!捕まえました」
「よくやったわ!!」

かくして、リオンは再びスタンの家に連行されてしまった。
事情はどうやらリリスに根掘り葉掘り聞き出したらしく、全く質問をしてこない。

「…何でいるんだ」
「それはこっちの台詞ね」
「姉さんには関係ないだろ」
「あら。姉さんだなんて。珍しいんじゃなぁい??」
「まあまあ…私たちは、スタンさんが心配で見に来たんです」
「見に来たというより尾行してきた?」
「うっさいわねぇ。あんたはいちいち一言多いのよ」

(女はかしましいというか……)

「あんた今なんか変な事考えたでしょ」
「放っておけ」

 ギィ……ガチャ
スタンの部屋のドアを開けた。

「スタン!起きなさいよっ」
「……ルーティ!?フィリアさんまで…何でいんの?」
「あんたが逃げ出さないか心配だから来たのよ!それより、お土産よ」

リリスがリオンを押し出す。

「リオン…」
「あんたたちねぇ、変な事で仲間割れしてんじゃないわよ!」

ルーティはドサッと椅子に座った。

「…仲間なんかじゃない」
「はぁ?なにいってんのよリオン」
「僕は一度裏切ったんだ。もう仲間には戻れない」
「そんな事をこだわっていたんですか?」
「くっだらないわね」

ルーティの馬鹿にする声に、ムカッとした。

「くだらないとはなんだ!」
「くだらないったらくだらないの!あのマリアンとかいう女の為だったんでしょ?」
「……そうだ」
「じゃ、あんたマリアンって娘とスタン、どっちとるの?」

突然の質問に、一瞬理解が出来なかった。

「何のことだ…?」
「あんたがマリアンをとるなら、スタンは私のものよ」

すすすっとスタンに近づき、首に腕を回した。

「や、やめろよ、ルーティッッ!」
「あんな男忘れちゃいなさいよ。スタンもやっぱ美人な女の方がいいでしょ?」
「……美人な女?そんなのどこにいるんだ」
「うっさいわねぇ!!目の前にいるでしょ!!!」

ルーティの投げてきたフォークを無言でかわすリオン。

「俺…リオンじゃなくちゃ嫌だ」

うつむきながら、小さくスタンが呟いた。

「ルーティも好きだけど、そう言う意味の好きじゃないんだ。俺は…リオンじゃないと駄目なんだ…」
「スタン…」
「で?リオン、どうするのよ。オヒメサマはこんなこといってますが」

しかしリオンは答えない。しかし、無言のままでドアの近くにいたリリスとフィリアを部屋の外へ追い出した。

「お前も出て行け」
「……はいはい」
「これも持っていけ」

そう言ってルーティに手渡したのは、ディムロスとシャルティエだった。

『やれやれ。ボクはお邪魔虫ですか』
「悪いなシャル。ちょっとだ」

部屋からリオンとスタン以外いなくなった。
リオンは念には念を入れて、ドアに鍵をかけて、外に声が漏れない魔法をかけた。

「スタン」

椅子からスタンを立ち上がらせ、ベッドに座らせた。

「…その……悪かった」
「リオン…?」
「僕は、へんにこだわりすぎてた。お前が…僕のことそんなに想っててくれていたのに」

リオンも隣に腰掛けた。そしてそのままスタンをベッドに押し倒す。

「ちょっ……!!」
「スタン。あの時の最後の言葉、覚えているか」
「え…ああ」
「『愛してる』…あの言葉は今でも変わってない」

そっと唇を重ね合わせる。リオンは舌をのばし、スタンのそれと絡ませ合う。

「…あっ……」
「僕も…スタンじゃないと駄目だっていうのを忘れていた」
「リオン…」
「もう一度、やり直せるかな」
「…ああ。勿論」
「ありがとう、スタン――」

『――――聞かせなさいよッッッ!!!!!!』

突然物凄い爆音とともにルーティの声が聞こえてきた。そして、魔法で閉じていたはずの鍵が開き、ルーティとフィリアが入ってきた。

「「あ」」
「…い、いやぁぁぁ!!!不潔ですっっ!!」
「フィ…フィリア?!落ち着いてっ」
「問答無用です!―――レイッ!!!」

スタンを抱きかかえて、ベッドから離れた。

「結界を破ったな」
「だって、中で何やってるか気になったんだもの」
「あああ…俺の部屋……」

【レイ】の影響で、スタンの部屋は燃えていた。
張本人のフィリアといえば、既にこの場から姿を消していた。余程ショックだったのだろう。

「しかたないわねぇ…アイストーネード!!」

無事家全体に燃え広がる前に消し止めた。
「ありがとう、ルーティ」
「いえいえ。……お代は10万ガルドね」
「なっ?!」
「一生かかってでも払ってもらうわよ。勿論リオン、あんたもね」
「はあ?」
「あんたたちが悪いんだもの。くだらない痴話喧嘩なんかするから」
「…悪かったな」
「何はともあれ、とにかく行きましょ。ウッドロウが待ちくたびれてるもの」
「とりあえずフィリアを探さなくちゃ」

スタンの家の外に出たところで、ルーティがピタッと足を止めた。

「?どうしたんだ」
「まだ言ってなかったから。…おかえりなさい」

リオンは突然の言葉に、目を白黒させていた。

「(ルーティもすっごく心配してたんだぜ)」
「そこ!余計なこと言わないの!!!」
「なんだよーホントのことじゃん!」

二人の口喧嘩を聞きながら、リオンは空を見上げた。再び今まで通りの生活が戻ってきた。彼らの旅はまだまだ続くのだった……


The END……  

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