私の名前は小島有希。サッカー部のマネージャー&女子部キャプテン!
目標は女子プロサッカーで大活躍すること!
テクニックなら、そこらの男子部員にだって負けない自信もある。
うちの部内で、私が勝てない人って言ったら、
水野や佐藤とか・・・とにかく、数えるほどしかいないわ。
私は強くなるのよ!

「・・・小島?」

後ろから、呆れたような声がした。私は慌てて振り向いた。

「・・・って、水野じゃない。私に何か用?」
「帰らないのか?俺は、部室に鍵を掛けて全員帰ったか確認しなくちゃならないんだ」

すでに部活も終わっており、周りを見回しても私と水野以外はいなかった。
いつもなら水野と一緒にいる風祭や佐藤も、今日は珍しくいなかった。

「そういうこと。あっそうだ。ちょうどいいから、一緒に帰らない?」
「ああ」



職員室に鍵を返して、水野と私は校門を出た。
校舎を出たあたりから、水野は全くしゃべらなかった。私も、それにつられて無言になる。

「・・・小島はさ、風祭のこと、どう思う?」

河川敷の付近に来たところで、突然口を開いたかと思うと、風祭のことだった。

「そおねえ。う〜ん・・・私、ちょっとあこがれてるのよね、風祭には。
 だって、変なプライドもなーんにもないから、いろんな事を吸収していける。羨ましいわ」

私の言葉を聞いて、水野は嬉しそうな顔をした。・・・何故?

「もしかして、水野と風祭って・・・」
「?」
「らぶらぶ?」

手でハートマークをつくって言った。水野は思いきり転けた。

「な、何言ってんだよ!」
「そおやねぇ、どっちかってゆーと、タツボンの片思いやもんなぁ。
 ポチにとっちゃ、良いお友達ってとこや」

突然、背後から聞き覚えのある声がして、私は振り向いた。

「シゲ!何でおまえがここにいるんだ!」

そこにいたのは佐藤だった。

「たつぼ〜ん。俺を誰やと思っとるんねん。おまえが調子悪そうやったポチの様子を見に行こ思とる事なんか、バレバレやねん。
 俺もFW仲間として、心配してんで。行くんやったらついてこ思ったら、小島と一緒にいたから、何となく話しかけづらかったんや」
「そっか・・・風祭、調子悪かったのね。よし!私もお見舞いいこっか」

そして私たち三人は、風祭の家に向かった。



ピーンポーン・・・
私は代表して、チャイムのボタンを押した。
そのすぐ後、ドアが開き、いつもなら仕事をしている時間帯なのだが、
風祭の所為か、offなのかはわからないが、風祭のお兄さんの功さんが出てきた。

「夜分すみません。私たち、風祭くんの調子が悪かったみたいなので、様子を見に来たんです」
「わざわざ悪いね。あいつ、今朝37.9度の熱があったっていうのに学校なんか行くから・・・」

功さんの案内で、風祭の部屋まで行く。

「でも、君たちも来てくれたなら、将のやつも喜ぶよ」
「も?ってことは、他にも・・・?」

私の呟きは聞こえなかったらしく、功さんは風祭の部屋のドアをノックした。

「将ー!小島さんたちが来てくれたぞー!」

そういってドアを開ける。するとそこには・・・

「「「不破?!」」」

そこにいたのは、サッカー部のチームメイトである、不破大地だった。

「あ。小島さんに水野くんにシゲさん。どうしたんですか?」
「あんたのお見舞いに来たのよ」

不破は私たちを一瞥すると、再び風祭の方に体を向けた。

「ほら、早く食わんと冷めるぞ」
「あ、うん」

不破の言葉に頷いて口を開ける風祭。そのまま不破は、口の中にお粥を運んだ。

「いやー、悪いね、不破君。将のお粥だけでなく俺の夕飯まで作ってもらった上、将の世話までさせて」
「いえ」

どうやら、あのお粥を作ったのは不破らしい。あの風祭の舌を認めさせる料理を作るとは・・・さすが天才。

「・・・どうしたの?水野くん」

風祭の声は、私の後ろにいる水野にかけられた。自分を呼ぶ声に気づき、水野はハッとして、慌てて首を振った。

「何でもない」
「(あーあ。純情なタツボンのハート、もろくずれやな)」

佐藤が小声でつぶやく。

「風祭。お粥が顔についているぞ」
「えっ?!どこ?」
「ここだ」

そういった不破は、風祭の頬についていたお粥を、自分の舌で舐めとる。風祭は顔を真っ赤にして、口をパクパクさせていた。
あまりのことで、気が動転しているらしい。私は佐藤に小声で言った。

「(あのさ・・・)」
「(ん?なんや)」
「(水野の心、クラッシャー不破の手により、撃沈)」
「(さすがは壊し屋【クラッシャー】の異名を持つ男やな)」

いちゃついている二人は放っておこうと、私と佐藤は言葉を交わさずに頷きあった。

「風祭。私たちはそろそろ帰るね」
「ご、ごめん!たいしたおもてなし出来なくって・・・!」

私は佐藤に目配せして、すっかり落ち込んでいる水野を連れて行くように指示した。

「ポチー!明日来ぃへんかったら、しょうちしないで。FW一人じゃ、フォーメーション練習できへんさかい」
「は、はい!」
「それじゃーね、風祭v」

ガチャッ
・・・。
・・・。
・・・。

「いやー。おもろいもん見てしもうたなー。明日、このこと、誰に言ってみるか」
「駄目よ」
「なんでや、小島」

不満そうに佐藤は言ってきた。それに対し、私は軽く口の端をあげて答える。

「もうちょっと、情報知りたくない?例えば・・・どこまでの関係だとか」

佐藤はポンッと手をたたく。

「なーるほど。それをつかんでからでも、遅くないっちゅーことか」

二人で顔を見合わせて、ニヤーッと笑う。


明日からが楽しみだわっvv




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