アルカディアで起こったあの不思議な事件から、
聖地の時間で約三ヶ月過ぎた。リモージュの治める宇宙も、
コレットの治める新宇宙も、平和な時を過ごしていた。
しかしあるときコレットとレイチェルは、
共にリモージュの元へとやってきたのだった。
「……どうしたの?なにかあったみたいね……」
リモージュは守護聖を全員集結させ、謁見の間へと二人を導いた。
二人の顔は真剣な面持ちで、その場にいる全員に話を始めた。
「…二日ほど前から、ある惑星より邪悪な波動が放たれているのです」
「邪悪な波動?」
二人の話をまとめると、こういうことらしい。
新宇宙にある惑星のひとつから、なにやら邪悪な波動が放たれているらしい。
その波動はその惑星の中心部から感じられるが、
いまだその惑星は無人で、生命は全く誕生していない惑星らしいのだが……
「…これは重大事ね…」
リモージュはロザリアを見た。
それが何を意図することかわかった彼女は頷き、
奥の部屋へ行って何かの資料を取ってきた。
「現在はそんなに彼らの力を欲しておりません。少し聖地の時間を遅らせれば…」
「ええ、そちらの時間で約一ヶ月は時間が取れるわね」
今度は守護聖らの方に振り返り、大きく凛とした声で言った。
「守護聖に命じます!今から新宇宙へと赴き、謎の波動を調査してきなさい」
「女王陛下の仰せのままに」
ジュリアスが跪き、それに続いてコレットとレイチェルも跪いた。
「ありがとうございます」
「さぁ、うかうかしていられないわ。早く守護聖たちをつれて新宇宙へ…」
「今、かつての協力者たちにも使いをやりました。明日にはそちらへ行かせましょう」
新宇宙につくと、まず守護聖らを宮殿へと案内した。
「まだ部屋数とか少ないので、一人一部屋、というわけにはいかないんです」
「……とりあえず三人一部屋ってことでもイイデスカ?」
「構わないぜ、お嬢ちゃん」
レイチェルの手を取り、囁くように言ったオスカーだったが、
「ダメですよ、オスカー様」
軽くあしらわれてしまった。それを見て、後ろでオリヴィエがコッソリ笑っていた。
「あの…部屋割りは、どうしましょうか…」
コレットがおずおずと言った。
「そうですねー…」
ルヴァは少し考えた後、
『ジュリアス・オスカー・オリヴィエ』
『クラヴィス・リュミエール・ルヴァ』
『ランディ・ゼフェル・マルセル』
の3部屋を提案した。皆、口々に「賛成」と言っている。
「二部屋が東館、後の一部屋が西館に位置しますが…」
「いざというときの為に、私たちとジュリアスたちの部屋は近くの方がいいでしょうねー」
とりあえず部屋に入ろう、ということで東館はレイチェル、西館はコレットが案内することとなった。
「皆さん、こちらです」
コレットの後についていく。
「コレット、ホントに久しぶりだね!」
マルセルがコレットの横に来た。
「そうですね」
にこっと微笑む。
「君があまり変わってなくてよかった」
「ランディ様もお変わりなくて……」
そこまで言って、コレットの言葉は中断された。
「ゼ、ゼフェル様!」
ゼフェルが無言のままコレットの腕を掴んでズンズンと進んでいってしまったのだ。
「……はは、ゼフェルったら僕たちにヤキモチやいてたんだ」
「うるせー!!」
マルセルの言葉に、二人とも顔を真っ赤にさせていた。
「まったく。ゼフェルもはっきり言えばいいのにな」
そんな彼らを見て、後ろで微笑ましそうに二人が笑っていた。
「……部屋は、突き当たりです。一応中には他の二部屋と連絡が取れる機械が置いてあります」
やがて突き当たりの部屋へと到着した。
中にはいると、結構広々とした部屋だった。
「この連絡機は他の部屋と連絡が取れます。もしもの時に使って下さい。…ちなみに」
コレットは三人の方を振り返り、笑った。
「私の部屋はこの隣にあるので、この連絡機は使わなくても大丈夫だと思います」
一通りの説明を受けると、四人は中央の間へと向かった。
そこには既に、東館の面々が集まっていた。
「さて。そろそろ調査について決めるか」
ジュリアスがレイチェルを見て頷く。今までのデータが机の上に広げられた。
「現時点では何とも言えません。エルンストがいればもう少し解明できると思うのですが」
「そうか…明日、協力者たちが揃ってからでないと、その辺はどうも言えぬな」
全員が考え込む。すると、オスカーが言った。
「明日、ひとまずその惑星へと行ってみませんか?ジュリアス様」
「惑星に足を踏み入れるのは危険なのでは?」
彼の意見に対し、反論を言い出したのはリュミエール。しかし、コレットは言った。
「惑星自体に入るのはそんなに危険ではありません。ただ…」
「ただ?」
「その惑星内にある建物に近づくと危険ですね…」
「まあ、一度その惑星に行ってみる価値はありそうだな」
ジュリアスは全員を見回した。
「異論のある者」
「いいんじゃなーい?行ってみると何かあるかもよ☆」
オリヴィエの言葉に、皆が頷き、満場一致で決まった。
「とりあえず夕食にでもしますか?皆サンお腹空いているでしょうカラ」
夕食を食べおわした後、各自部屋へと戻っていった。
そんな中、宮殿の屋上にゼフェルとコレットの二人がいた。
「…三ヶ月。三ヶ月ぶりなんだよな…」
「……はい」
ギュッとコレットを抱きしめた。
「下界ではもう三年くらい経ったよな」
一度力を抜き体を離した後、額に軽くキスをした。
「オレも少し身長も伸びたし、結構我慢強くなったんだぜ。でも……」
「…でも?」
「おめーは、それ以上に綺麗に…女っぽくなった」
再びギュッと抱きしめる。
「こーやってねーと、理性が保てねーくらい…色っぽくなったよな」
「そんなことないです。ゼフェル様も、格好良くなりました…私なんかとは釣り合わないくらい」
「……オレの方が釣りあわねーくらい、美人になったよ」
小声で呟いた。しばらく抱いていた後、ゼフェルは手を離し、空を見上げた。
「あー、オレに似合わねえようなクッサイ台詞ばっかだったな」
コレットの方を振り向き、手を差し出した。
「さ、戻ろうぜ。あんま外に出てると風邪ひいちまうから」
「はい」
「おかえりー」
コレットを部屋へと連れて行き、彼が戻ると、
そこに待っていたものは、笑みを浮かべているランディとマルセルの顔だった。
「な、何だよ。変な奴らだな」
ゼフェルは軽装に着替えると、そのままベッドへと潜り込んでしまった。
笑ってはいたが、それ以上は二人もつっこんできこうとはしなかった。
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