次の日の朝、朝食をとっていた彼らの前に、数人の男たちが現れた。
もちろん彼らはかつての協力者たちだ。
「久しぶりやなー!!」
口火を切ったのはチャーリーだ。
レイチェルに指示され、彼らも席についた。
そこで改めてジュリアスが調査について話し始めた。
「調査、ですか…」
エルンストが事件の内容を聞いて、考え始めた。
「どちらにしろ一度惑星へ赴き、データを採取してこないとならないでしょう」
「やはりそうか。では今日の正午、その惑星へと向かおう」
「あのー…ところで、僕たちの部屋って、どうなるんですか?」
ティムカがおずおずと話しかけた。それに対してルヴァが答えた。
「そうですねー」
ルヴァはほんの少し考えた。どの部屋割りが一番落ち着くのかを、決めているのだ。
結局、ティムカとメルがゼフェルたちの部屋、
セイランとチャーリーがオスカーたちの部屋、
そしてヴィクトールとエルンストがルヴァたちの部屋ということになった。
「それが一番収まりがいいでしょう」
部屋割りが決まると、ジュリアスは一言、何が起こるかわからない惑星へと足を運ぶ為、
しっかりと準備するように。その言葉が終わると、各自部屋へと分かれていった。
「さぁて。何を持っていくか」
ランディは膝の上に剣を置き、リュックサックの中を漁っていた。
その剣はレヴィアスとの戦いの時に使用したものだった。
あれからしばらく使ってはいなかったが、綺麗に手入れをしていたのか、刀身には錆や曇りの一つもなかった。
もちろん同室のマルセル、ティムカ、メルもあのときの武器を持ってきていた。
「薬草も持っていった方がいいよね」
「そうですね。何が起こるかわからないし……ゼフェル様は何を持っていくんですか?」
そう問いかけながらゼフェルの方を振り返る…が、彼からの返事はなかった。
何か真剣に作っているのか調節しているのか、メルの声が耳に入っていない様子だった。
「いつものことだろ。とにかく、早く用意しよう」
正午。再び会議の間へと全員が集まった。すっかり身支度はすんでいるようだった。
「レイチェル。ここからその惑星まではどう行くんだ?」
「はい。既に【路】は用意されてます」
「では直接そこへと行けるわけ?」
オリヴィエの問いに、はい、と答える。しかし、コレットが控えめに言い出した。
「あの…できれば、アルカディアの方へ一度寄っていただけませんか…?」
「何かあるの?」
「実は、アルカディアにはアリオスがいるんです。今回のことを話したら、是非自分も参加したい、と」
一瞬考えた後、ジュリアスは頷く。
「彼の剣術には私も一目置いている。連れて行って損はないだろう」
他の皆も賛成のようだった。
ホッとしているコレットを見て、ゼフェルは少しだけ胸を締め付けられるような思いになっていた。
彼女がアリオスのことを信頼しているのはわかる。
この新宇宙の中で頼りになるのは彼だ…自分は、彼女を助けることは出来ないから。
別宇宙にいて、自由にそこから出られない自分よりも、
その場にいて、すぐに彼女の元へと来られる彼が羨ましいと思った。
でも、顔には全く出さない。
自分も流石にそこまで【ガキ】ではないから。どうこう言ってどうにかなる問題でもないから。
「……?ゼフェル、置いてかれちゃうよ」
「お、おう……わかってる」
「アリオスと合流できたら、またここへ戻ってきて下さいネ」
アルカディアへはジュリアス・オスカー・ゼフェル・コレットの四人が行くこととなった。
――――アルカディア、約束の地。
いつもの通り、彼はそこにいた。
「アリオス!」
「よぉ。やっと来たか……待ちくたびれたぜ」
すっかり旅支度を終えていたアリオスは、コレット達が来たのを見て、荷物を持ち上げた。
「久しいな、アリオス」
「事情は聞いてるぜ。急いでるんだろ?」
アリオスの言葉に、オスカーは頷く。
「それなりに、な。話は歩きながらでも出来る。―――行こう」
聖地へと戻るため歩き始めた。
ジュリアスとオスカーが何かを話し合っている中、
アリオスは、少し後ろを歩いていたゼフェルとコレットに並んだ。
「…よ、ボウズ。ずいぶん機嫌が悪そうじゃねーか」
にやにやしながらゼフェルに話しかける。勿論、理由はわかっていた。
「うっせー」
「アリオス!やめて」
コレットに戒められ、肩をすくめる。アリオスは、からかっているのだ。
ゼフェルの気持ちも知っているし、コレットが自分を頼りにしていることも。
少し二人より前に出て、笑っていた。
そうこうしているうちに、聖地の方へ戻ってきた。
そして、研究班のエルンストとレイチェルを残して、彼らは惑星……【ディエスト】へと向かった。
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